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    日本・韓国・台湾の終末期の治療中止に関する法政策の比較についてのワーキングペーパーが公開されました

    asianeol

    本プロジェクトのメンバー(田中美穂)が作成した、日本医師会総合政策研究機構ワーキングペーパー「日本・韓国・台湾の終末期の治療中止に 関する法政策の比較 -超高齢社会における議論の構築に向けて-」が掲載されましたので、ここに公開いたします。


    以下にワーキングペーパーの概要を記しております。

    本文全体を読むには、日本医師会総合政策研究機構のサイトに以下のURLからアクセスし、ダウンロードしてください。



    概要


    日本

    ・終末期の治療中止に関する法政策を比較すると、法制化した韓国と台湾に対し、日本は厚生労働省のガイドラインという行政ガイドラインを有している

    ・日本の厚労省ガイドラインは、治療中止等の具体的な要件や手続きの方法を明確にしたのではなく、意思決定のプロセスを明記したガイドラインである。その主な特徴は、本人による意思決定を原則とし、意思決定過程における家族の関与を明確化し、関係者間の合意形成を目指したアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の取り組みを重視していることである



    韓国

    ・韓国の「延命医療決定法」は、患者の自己決定権を明記し、ホスピス・緩和医療と延命医療、延命医療の差し控え・中止の決定を規定しているという特徴がある

    ・延命医療決定法はまた、ホスピス緩和医療が考慮される「末期」と、延命医療の差し控え・中止が考慮される「終末期(臨終過程)」を区別している

    ・韓国では、国立延命医療管理機関が、延命医療計画書や事前延命医療意向書を登録するデータベースの構築や管理を担い、延命医療の差し控えや中止の決定とその履行状況に対する調査研究や情報収集、関連統計の作成等を行っている



    台湾

    ・台湾は、2000年施行の安寧緩和医療法と、2019年施行の患者自主権利法を有している

    ・安寧緩和医療法は、安寧緩和医療の受け入れ、あるいは、延命治療の選択の意思とその内容、場合によっては医療代理人の指名を明記した事前指示書によって、治療の差し控え・中止が可能としている。事前指示書がない場合は、家族一人の同意によって、事前指示書も家族もない場合は、医師によるコンサルテーションを経たうえで差し控え・中止ができる

    ・ 患者自主権利法の主な特徴は、患者の自律性の尊重と患者の権利を保護することを前提に、差し控えや中止の対象者と対象となる医療措置が拡大されたこと、アドバンス・ケア・プランニングを経て事前指示書を作成することである

    ・中央所轄官庁(衛生福利部)が事前指示書のデータベースを管理している


    終わりに

    ・超高齢社会における意思決定に関する課題として、第一に、社会状況を概観した結果、終末期における治療中止等の意思決定を支えてくれる家族がいることを前提する意思決定には限界がある、という点がある。第二に、終末期の治療中止等の意思決定に影響を及ぼす可能性のある要因を検討する必要がある、という点がある

    ・高齢者関連の社会福祉政策のみならず、社会保障の根幹をなす医療・年金・介護制度が個人の人生に与える影響が大きいため、社会状況に対応した改善が必要である。社会保障制度とその周囲の関連法政策が対象者の置かれた実態を適切に把握し、対象者と制度を円滑に結びつける支援が必要である

    ・終末期の治療中止等の意思決定に関しては、意思決定支援する家族が必ずいることを前提するのではなく、家族がいない人が一定数いることを前提にした支援も必要である。本ワーキングペーパーで述べたように、国レベルの政策を講じるために諸外国の取り組みを十分に検討し、具体的な対応策を検討する必要がある


    (2025.3.6)

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